1977年に発表されたジェイムズ・P・ホーガンのSF作品です。
月面に基地を作り、人が住むようにもなっている近未来が舞台です。
月面での作業中に深紅の宇宙服を着たまま亡くなった死体が発見されます。
この死体に対して年代測定を行ったところ、
なんと5万年前に亡くなっていたことが判明します。
科学界はもちろん、世界中が大騒ぎになる中、
主人公のヴィクター・ハント博士を中心に
チャーリーと名付けられた彼がどこから来たのか、
謎を解明するべく物語が進行していきます。
新しい発見が相次ぎ、それに対して新しい仮説が立てられ、
それがさらに新しい発見により否定され
ということを繰り返し、混沌を極めていきます。
さらに木星の衛星ガニメデでの驚くべき発見があります。
すべてがバラバラで関係がないように思われた
様々な発見が物語のクライマックスに向けて
結びついていきます。
本作品はチャーリーがどこから来たのか
という謎を解決する科学者達の物語です。
ロマンスも、アクションもありません。
いわゆる「ハードSF」のジャンルの作品で、
物語の中で次々に現れる発見を
科学的考察により解明しようと試みます。
様々な仮説が登場しますが
解決するのは物語の終わりです。
この作品は、ホーガンのデビュー作です。
新しい発見に対してある科学者が仮説を立て、
別の科学者がその矛盾点を指摘する等、
科学的考察が非常に面白い作品です。
最終的にはハント博士と
その同僚のダンチェッカー博士により
謎は解明され矛盾点が解消されます。
最後のダンチェッカー博士による
人類に対する仮説は「う~ん、なるほど!」と
唸るものでした。
科学好きな人にはドハマりする作品です。
高校時代に科学雑誌のNEWTONを読んでいた私は
まさにドストライクでした!
続編には「ガニメデの優しい巨人」、「巨人たちの星」、「内なる宇宙」があります。
ちょうど第1作の「星を継ぐもの」を読み終えたばかりですので、
続編も読んでみようと思います。