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「聖女の回復魔法がどう見ても俺の劣化版な件について。2」

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オーバーラップ文庫の「聖女の回復魔法がどう見ても俺の劣化版な件について。2」を読んだので感想です。
第1巻も発売されてすぐに読んだのですが、最近第2巻が発売されたので読んでみました。

オーバーラップ文庫は、激しくハマっている「灰と幻想のグリムガル」の
新刊をチェックするために来月発売タイトルのページをちょくちょくチェックしています。

最近なかなか続編が発売されないので(待ち遠しく思っているために余計そう感じるのでしょうが)、
チェックするたびにがっかりしていたのですが、
「聖女の回復魔法がどう見ても俺の劣化版な件について。」は
そうやって新刊チェックをしていた時にタイトルが気になって購入した作品です。
1作目のタイトルと表紙を見たときに気になってしまい、思わず購入してしまいました。

回復魔法を習得したいと思っていたが、学ぶお金がないために
独学で回復魔法を習得し、自分の回復魔法の力で生計を立てていくストーリーです。

第1巻では、主人公が田舎から近くの街に出てきて
回復魔法を使って生計を立てていけないか、
ギルドに相談するくだりがあったりと、面白い部分もありました。

特に、タイトルにもなっている「聖女の回復魔法がどう見ても俺の劣化版な件について。」の部分ですが
主人公が独学で身に着けた回復魔法が常識を逸したほど効き目があるという設定がよいです。
回復魔法を独学で学ぶためには自分の体で実験をするしかなく、
自分で体を傷つけて回復魔法で治すということをやる訳です。

回復魔法が上達するに従い、自分の体を傷つける行為もエスカレートしていき、
自分の腕を切り落とし、即座に回復魔法(ヒール)を唱えて腕が生えてくるということをやるようになります。
この回復魔法の効き目が尋常じゃなくて、街に攻めてくる敵を倒したりとか、
お城に忍び込んで不治の病で死にそうだった王妃と王女(聖女)を回復魔法で助けたりします。

第1巻は、田舎から出てきた主人公が独学の回復魔法を頼りに身を立てようとする
立身出世の物語や、強力で大量の敵に立ち向かうストーリー、
尋常でない回復魔法を身に着けた主人公と同じ能力を持つ敵キャラが現れたりと、
今後の展開を期待させる内容で、なかなか面白かったです。

主人公に目標があって、そこに対して物語が進んでいくということが見えていました。

ただ、第2巻になると主人公の目標や物語の展開が見えなくなります。
主人公が助けた悪魔族の少女(リリィ)が実は王女で、リリィを探していた姉の部下が
主人公アネストの仲間の女性2人からリリィの匂いがするという理由でさらってしまいます。

アネストはリリィとともに悪魔族に2人の返還を求めて使者として向かうことになり、
自分の城に戻ったリリィが身分を明かし、主人公はリリィの身元を隠していたことを責められ追放されます。
仲間の2人は無事に返還されますが、リリィを諦めきれないアネストは再び悪魔族の城に潜り込み
「お嬢さんをください」と言ってリリィを取り返すことに成功します。

主人公がリリィを悪魔族の城に連れていったにも関わらず身元を隠していたり、
リリィを取り返したいと思う動機が「リリィと一緒にいたいから」というもので、
幼稚でどうしても感情移入できませんでした。

また、リリィを連れ帰るために御者のおばあさん(のちに国王の母親と判明)から
決定的な一言「お嬢さんをください」を教わるのですが、
その意味を分からないまま魔王族の国王、王妃に告げてしまいます。
主人公は田舎から出てきた設定だけど、そこまで世間知らずじゃなかったはずです。
あまりにも幼稚過ぎました。

ストーリーは、仲間をさらわれて取り返すくだりが第2巻の後半で、
前半はハーレム化している仲間(女子ばかり)との
洋服や水着を買いに行ったり等の日常が描かれています。

第1巻で現れた敵は出てきません。
ですのでバトルもありません。
主人公が使う回復魔法は、悪魔族の城の中を走り回るために
自分自身にかけるスタミナ回復ぐらいです。

第1巻でせっかく張った伏線も触れずに
日常系の描写と仲間を返還してもらうための旅(「仲間を返してください」と「お嬢さんをください」ぐらい)
だけだったので、非常に残念です。

主人公が今後どうして行きたいのか、どうなっていくのかが
全く見えないまま第2巻が終わってしまいました。
主人公の回復魔法は非常に強力ですが、さらに能力を伸ばそうと努力するのか、
限界まで伸びきっているので強力な敵と戦わざるを得ない展開にするのか、
等が見えれば読んでいる方も今後の展開が気になるものですが、
こういった要素がなかったために、ただ状況に流されていく主人公の
周りの出来事を読んでいるという展開でした。

主人公の能力の設定などの要素が面白いだけに、ただ残念です。

今後のストーリー展開の回復は見込めるのでしょうか?

  • B!