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色々矛盾点を感じて感情移入できなかった「ダンガンロンパ3 -The End of 希望ヶ峰学園-」

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少し前に「ダンガンロンパ3 -The End of 希望ヶ峰学園-」を見終わったので感想を。

事前に何の知識もなく、ゲームもアニメもやったことがない、見たことがない
という状態での感想になります。

「ダンガンロンパ3」ということで、恐らく3作目(もしくはゲームの3作目のアニメ作品)
だろうなと思い見始めました。

主人公の名前も、前後関係も、所属する組織の名前も何もわかりません。

3ということで何もわからないだろうということは想定していました。

物語は「未来機関」という組織に癖のありそうな登場人物が集合するところから始まり、
唐突に殺人事件(?)が起こります。

変なクマが登場し、ゲームの始まりを宣言します。

犯人が誰なのかわからない状態で、仲間同士でお互いが犯人じゃないかと
疑いあいながら理不尽な殺人が続いていく・・・という展開に
昔読んだアガサ・クリスティの「そして誰もいなくなった」ぽいなと
期待感を持ち見始めました。

最後まで見終わった感想は、
「登場人物の行動にいくつか理解できないものがあり、感情移入できなかった」
ということと、
「恐らくこのアニメの主題である、誰が犯人かを探し当てる推理が中途半端だった」
というものです。

理解できなかった登場人物の行動や物語の設定としては、以下があります。

未来機関の会長である天願と副会長の宗方が戦っている際に、天願が宗方と一緒に高い場所から落ちたこと。

天願と宗方の戦いでは、飛び道具のある天願の方が有利にも見えました。
そういった状況なのになぜか天願が宗方を引き連れて落下。
→落下後に突き出た鉄棒に自分の胸が突き刺さった状態に。

落ちるときに、「なぜここで落ちる必要がある?」と思い、
落ちた後に天願が鉄の棒に突き刺さっている状態になり、
自分から落ちにいって自分だけ鉄の棒に突き刺さって身動きができない状態になっています。
しかも対する宗方は自由に動けてちょっとしたケガで済んでいます。
「余計になぜ?」でした。

シナリオ的には、天願から宗方に対して
「ここにいる全員が襲撃者」ということを言わせたかったのと、
天願をここで死なせたかったからかなと勝手に推測。

しかもこの後、宗方が天願を殺してしまいます。
天願を「絶望」と思ってではなく、別の理由でしたが
宗方のこの時の心理状況を読み取ることはできませんでした。
最終的に、刀を天願の喉に突き刺すのですが、
すでにこのとき天願は鉄の棒に体を貫かれて身動きが取れない状態なので
わざわざそこまでしなくても・・・と思いました。

一応、会長と副会長なので、突き刺さった天願を助け出し、
介抱しながら話を聞き出すという方が自然だったかなと思います。
それでも自分から落ちた不自然さは残りますが。

霧切響子が「全員が海の中に移動させられている」と推理したが、
「海の中」である理由が説明されていない

霧切響子が「全員が海の中に移動させられている」と推理して、
実際に海中(建物の中にいるので、海中であるというのは、外の景色を見ないとわからない)に
移動させられていた訳ですが、そこが「海中である」と推理した理由がわかりません。

本作では、未来機関で閉じ込められた登場人物が一定期間ごとに
強制的に眠らされて、目覚めたときに誰かが殺されているという設定が
重要な位置づけになっています。

眠る前に戦いで付いた建物の傷が起きた後には消えていることから、
眠っている間に全員が全く同じレイアウトの場所に移動させられている
ということを霧切響子は推理します。

全員が眠った前の状態で、まったく違う場所に移される訳ですが、
「一人で全員を同じ配置で移動させるのってムリゲーじゃね?!」というツッコミは置いておいて、
移動した先が「海の中」であるという理由が登場しません。
しかし、自分たちは「海の中」にいるということを霧切響子は推理する訳ですが、
なぜこの推理ができたのかがわからないままです。

全員を眠っている間に移動させた理由ですが、単に「逃げ出せないようにするため」でした。
そのために、まったく同じレイアウトになるように建物を作っています。
そして最初に全員が眠ったときにそこに移動させています。

逃げ出せないようにするためにしては、あまりに大がかりで手間がかかるように思えます。
単に逃げ出せないようにするためなら、建物の外に出るとリストバンドが反応して死ぬとかにするだけで
対応できるような気がします。
「わざわざそんなことやる?」という疑問が拭えませんでした。

そして、この「まったく同じレイアウトになるように未来機関の建物の中に作ることができる」
ということから、犯人が絞りこまれます。
「誰が実行可能か」ということから、犯人が判明します。
犯人としては、意外な人物ではあると思いますが、
謎解きとしては「そこで足がつくって・・・」と非常に残念でした。

霧切響子のNG行動「苗木誠が生存したまま4回目のタイムリミットを迎える」は、「行動」ではないのでは?

「廊下を走る」とか、「扉を開ける」とかは、行動と言えますが、
「苗木誠が生存したまま4回目のタイムリミットを迎える」は行動ではないのでは?という疑問です。

「迎える」と動詞になっていますが、このNG行動の意味は
「4回目のタイムリミットの時点で苗木誠が生存している」という状態を表していますよね。
自身の行動ではなく、他人の生存が条件というのはNG行動と定義できるのかと疑問です。

あとは、天願の「質問に嘘で答える」というのも、嘘をついたということをどうやって判定するのかという疑問を感じます。
バングルに嘘発見器がついているという設定なのでしょうか。

「廊下を走る」のも、廊下以外ならOKなようですが、走っている場所が廊下なのかどうかってどうやって判定するのでしょうか?
バングルが自動判定するのではなく、犯人グループが監視カメラで対象人物を監視していて
その行動を取ったら手動で毒を注入するという設定なのでしょうか?

バングルは意外に外せる

「バングルを外そうとすると毒を注入されて死んでしまう」という設定です。
これは物語を左右する重要部分です。

こういう設定の物語だと、不可侵のアイテムです。
バングルを外すのは、問題が解決した後か、
特別な解法や対策を行った場合(これも問題の解決の一種ですが)
だけしか外せてはいけません。

ダンガンロンパ3では、物語の終盤になりますが、
満身創痍になった逆蔵が自分の手首を切り落とすことでバングルを外しています。
命のかかった状態で、死ぬのを選ぶか、手首切断を選ぶかになった場合、
手首を切断するというのは、十分あり得ると思います。
(自分でできるかは別にして)

ただ、設定として「バングルを外そうとすると毒を注入されて死んでしまう」のであれば、
手首を切断しようとしている時点で毒を注入されないの?という疑問が浮かびます。
分解したり破壊しようとしたりなどで、直接バングルを外そうとする行為はダメというのは出てきますが、
人間の心理として命の危険にさらされ極限の状態になったとしたら
手首を切断することを選択するということもあり得ると思います。
犯人はそういった心理状態を想定していなかったのでしょうか?

もう一つ、バングルを外す方法が「停電させること」でした。
こちらも物語の終盤ですが、逆蔵が配電盤の電源をすべて落とすと
バングルが無効化されて簡単に外れてしまいました。

「電源を落としてみよう」って、結構思いつきそうな対策です。
さらにガチガチのバトルもやっているので、破壊で電源が落ちる事態もあるかもしれません。
「停電したら助かった」ってお粗末すぎやしませんか?
バンドルって、建物の電源やシステムとは独立して運用させるべきじゃないですか?
最悪、「停電した場合は毒を注入する」という形にして、
停電による無効化を防ぐ対策を取るものだと思います。

あとは、4回目のタイムリミット時点で、自分が死ぬことが分かっている霧切響子の振る舞いが
自分の死に対してドライ過ぎるとか、塔和モナカの存在が不可解過ぎるとか
設定とか登場人物の心理描写に共感できないまま終わったアニメでした。

Wikipedia見てみたら、霧切響子って生き残ったことになっているんですね。

忌村の死体の検死時に彼女が開発した拮抗薬の試作品を発見しており、4回目のタイムリミットの前に摂取したその薬が無事に効果を発揮したことでNG行動違反の毒では死なず、仮死状態になっていたことが判明。その後罪木の治療によって蘇生し、生還を果たす。

それにしても、赤の他人が開発した試作品をいきなり自分の命で試すようなことってしないよね。普通。

  • B!