驚くべき展開にやられました「ゼロの使い魔 17 黎明の修道女」
ゼロの使い魔 17巻「黎明の修道女」を
読み終わったので感想です。
新たな虚無の担い手になるだろう
ジョゼットが16巻の最後に登場し、
ロマリアのジュリオも意味ありげに
ジョゼットの元に現れていました。
このジョゼットの正体ですが、
どこかの王族の私生児だろうと思っていました。
これまた16巻でサイトの領地となった
ド・オルニエールの屋敷が
なぜか魔法で王城とつながっていました。
現女王のアンリエッタの
父もしくは祖父が愛人を囲っていた
という部屋が登場しました。
ここでアンリエッタとサイトは
キスしてしまい、それを見ていた
ルイズが失踪してしまう原因となったのですが、
この部屋での密会が原因で
生まれた子供がジョゼットではなかろうか
と想像していました。
あの部屋がアンリエッタとサイトが
出会う以外の意味があったのだろうと
予想した訳です。
しかし、ものの見事に私の想像は裏切られました。
まさか、まさかというジョゼットの身の上でした。
そしてタバサが・・・。
急転直下の展開でいや~、まさかでした。
恐るべし、ヤマグチノボル先生!
サイトは傷心でトリステイン中を回って
ルイズを探しますが見つかりません。
時間切れでアンリエッタと共にガリアへ向かいます。
一方のルイズも自信を失い、逃避行の途中で出会った
「元素の兄弟」のジャネットの紹介でジョゼットが暮らす
修道院に向かうことになります。
その修道院でジョゼット達と過ごす中で
サイトとの暮らしを思い出し、
様々な想いの中で静かな生活を
送ろうとしているところに
ロマリアのジュリオが現れ
ジャネットを連れ去ります。
これを見かけたルイズは
新たな虚無の担い手が現れたこと、
そしてその使い手をロマリアが手に入れたことを知り
急ぎアンリエッタとサイトに知らせるべき
修道院を後にします。
アンリエッタの元に向かうルイズと
時を同じくしてサイトは刺客である
元素の兄弟に襲われます。
筋骨逞しいジャックに襲われ
果敢に立ち向かうも全く歯が立たず
ルイズの名前を叫ぶサイト。
予想通り、サイトの絶体絶命の場面で
ルイズが現れてジャックと対峙します。
精神力が高まり虚無魔法を
使いこなせるようになったルイズは
ジャックが全く歯が立たないほど
強くなっていました。
しかし、ルイズが非常に強くなったとは言え
ジャックをあっさりと倒してしまいます。
元素の兄弟はサイトが歯が立たず
デルフリンガーをも失ってしまった相手です。
ルイズが強くなったことを強調したいという
意図は分かりますが、それにしても
戦い方がよくない。
元素の兄弟は暗殺者としてメイジらしくない
戦い方で相手を葬ってきたはずです。
「ルイズが強大な魔力を持っていることがわかる」とはいえ
これまで取ってきたような魔法に頼らない戦い方ではなく、
なぜわざわざ魔力に頼るような戦い方をしたのか、
非常に不可解です。
刺客として闇の世界で戦ってきた人間です。
相手が強大な魔力を持っているからと言って
やけくそになるような戦い方はしないはずです。
自分が犠牲になっても相手にダメージを与える
というような無謀な戦略は取らないはずです。
特に「いつまでにターゲットを殺す」という指定も
なかったはずなので、その時はうまく逃げおおせて
闇討ちでも何でもできたはずです。
げんにこれまで戦ってきたフーケなどは
敗色濃厚となると逃げだして来たはずです。
ここがこの巻の一番の見せ場だったはずなのに
これでは台無しです。
16巻でわざわざアンリエッタまで持ち出して
ルイズとサイトを仲たがいさせたのは何のためなのか
と非常に疑問に思っていたのですが、
虚無の使い手としてパワーアップさせるためか、
さすがはヤマグチノボル先生と感心しました。
これほどの想いをしたルイズは大きく成長しただろうと
読者も大いに納得します。
しかし、やっと帰ってきたルイズが相手をしたのは
強敵の元素の兄弟、相手にとっては不足はなかったはずです。
実際には相手になったジャックはまともな戦い方をしません。
元素の兄弟の強みはカラダに魔法を施し
圧倒的な強さを身に付けていることです。
非常に素早かったり、強大な力を持っていたりする訳です。
やっぱり敵としてはそういう嫌なところを
存分に発揮してもらいたかった。
例えば元素の兄弟がカラダに魔法をかけていることに
ルイズが気づき、それを虚無魔法の解除(ディスペル)で
無効にする、動きが鈍くなったところをサイトが倒す
などという結果なら幾分かは納得できます。
相手が自分の強みを存分に発揮して
こちらを倒しにこようとしてくる、
その強みの理由を見抜き
新たに手に入れた虚無の力でこれを無効化し、
さらに強固となったサイトとの連携で
見事強敵を打ち破ったなどです。
この17巻も物語は非常に面白かったです。
まさかまさかの思ってもみなかった展開があり
ワクワクして読み進めました。
ただこの1点、このバトルだけが腑に落ちない、
不完全燃焼でした。